隣にいる外国人、彼らなしには生きられない日本人

既に日本にはたくさんの外国人がいます。都心の電車に乗って、外国人と遭遇するのは当たり前ですし、コンビニのレジではかなりの外国人が働いています。そして、深夜から早朝にかけてのお弁当の盛り合わせは、ほとんどが外国人がやってくれています。

 

気がついて見ると、日本は外国人労働者がいないと成り立たない国になっているのかもしれません。でもおかしいですよね、政府は単純労働者の受け入れを現段階で認めていませんが、その若者たちはどうして働けるのでしょう?

 

実はそこには「からくり」があります。日本に来ている留学生は「資格外活動」の手続きさえすれば、原則週28時間の労働が認められ、さらに長期休暇の場合には1日8時間、週40時間まで働けるからです。

 

ちなみにアメリカでは、留学生のアルバイトはかなり厳しく、学校内の条件付きで週に20時間までとなっています。また、学校内で働ける場所は非常に限られているため、働きたくてもその枠がないことが良くあります。それと比べて、どこでも働ける日本の法律はかなり「ぬるい」と言えます。大体、雇用主がチェックできるのは、その職場での労働時間だけですから、複数アルバイトを掛け持ちをしている留学生の場合、彼らの自己申告を信じるしかないためです。

 

特に語学学校や専門学校で日本語を専攻している留学生は、勉強をしに来ているのか、働きに来ているのかわからない学生も多数います。発展途上国からの留学生の多くは、借金をしてまで日本に来ている学生も多く、留学生が仕送りをしているケースも多数あります。たとえばミャンマーの平均賃金は月約4万円ですから、アルバイトの時給1000円x28時間x4週で換算してみると112,000円の収入となり、母国にいる家族を充分に養うことができます。また長い夏季休暇、冬期休暇を含めれば、アルバイトだけで相当な収入です。

 

ところが日本での生活費や、語学学校・専門学校の学費も安いものではありません。そのため自転車操業状態に陥り、当初掲げていた高い理想は消え失せ、日本語も上達せず、日本で正社員働くことの夢も実現できない…そんな留学生が多数います。

 

留学生の数は既に20万人を超え、政府の2020年までに留学生を30万人にする「留学生30万人計画」はほぼ達成の見込みです。この裏には、多くの語学学校、専門学校が留学生なしには、経営が成り立たないという悲痛な事実もあります。

 

もちろん人手不足で困っている産業界も絡んで、「留学生、学校、産業界」三つ巴の持ちつ持たれつの微妙な関係で成り立っているのが現状です。

 

たしかに《学生ビザ》の場合、学校を卒業したら帰国することが条件になっていますから、長期滞在のリスクは少ないのは事実です。ところが「技能実習制度」で来日した外国人が2016年だけで5,800人以上失踪していることから(累計17,000人以上)、彼らがまだ日本にいれば不法労働者です。それと同じように留学生が残ってしまう可能性もあるので、大きな社会問題となっていくことになります。

 

今はまだ良いですが、抜本的な対策を講じる必要がでてくることでしょう。安易な労働力の輸入は大きな禍根を残します。

 

一方で、先ほどの「留学生30万人計画」に基づき、かなりの税金が使われています。平成21年度を見ると680.6億円(補正予算含)が使われています。そして、政府は「高度外国人」として日本企業で働いてくれる可能性の高い、優秀な留学生の就活支援を行なっています。

 

具体的には、文部科学省の「留学生就職促進プログラム」があります。外国人留学生の定着を図るとともに、日本留学の魅力を高め、諸外国からの留学生増加をめざしますというもので、日本中で12拠点、各25百万円/年、最大5年間、総額15億円の予算です。
労働人口の減少は、ボディーブローのように日本経済に深刻な陰をつくる。そんな危機感が政府にあるのでしょう。

生産年齢人口の推移

 

生産年齢人口(15~64歳)という指標があります。2013年現在では約7,883万人いましたが、2060年に約4,418万人まで大幅に減少する見込みです。つまり約3,465万人が減ることになります。数字だけでは規模感が分かりずらいので、東京の人口と比較してみます。東京の人口は1,362万人ですから、空恐ろしい程の数字です。

 

AIやロボットがどんどん進化するにしても、徐々に、徐々に労働人口の減少による影響は出てくることでしょう。2018年現在で、既に大卒求人倍率は1.78倍となり、バブルの時期を上まっています。大手企業でさえ、求人が難しくなってきているのですから、中堅・中小企業ではさらに採用が難しくなっていくことでしょう。

 

その穴埋めをするために、優秀な留学生に残ってもらいたいのだと思いますが、日本企業のほとんどは、一部の企業を除き《及び腰》です。

 

日本に来る留学生の多くは、日本の生産技術や環境浄化技術、さまざまなハイテクを学びたいと思っています。またアニメや柔道・空手、歴史に裏付けされた日本文化に憧れてくる学生が多い。とても親日家です。

 

ところが、彼らが就職したいと思っても、採用をしてくれる企業は多くありません。その歪はとても大きい。就活に失敗した留学生の多くが、日本を嫌いになるとも言われています。

 

産業界側からすれば、採用が難しいとはいえ、なんとか対処できる範疇のため外国人まで雇う必要性がないというのが、本音なのだと思います。

 

また雇おうと思っても、すべてが日本人向け仕様で作られている会社の仕組みに手を付けることはとても大変な作業です。中途半端にそんな状態のままで外国人を採用しても、お互いに不満を残して辞めて行ってしまいます。

 

このように日本人を採用できないという消極的な理由では、この問題を解決することは現段階では難しいでしょう。

 

ダイバーシティ

 

ダイバーシティという言葉があります。(Diversity:多様性)

ビジネス的には、多様な人財を積極的に活用しようという考え方のことです。さまざまな多様性(性別、人種、年齢、性格、学歴、価値観など)を受け入れ、広く人財を活用することで企業力を高めることを目的としています。均一で同質の考え方しかできない人財ばかりの組織では、先が読みづらく、変化の激しい現代を乗り切ることは難しいものです。また、そのような組織では斬新なアイディアを出すこともできない。変化に適応することができない、そんなリスクを多くの日本企業は抱えています。つまりダイバーシティを活用できない限り、企業の命運は尽きるということでしょう。

 

積極的にダイバーシティを取り入れていく、そのような決断を早めに行った企業が生き残っていきます。日本企業には今までなかった「新たな試み」のチャレンジです。多様なものをマネージできるようになるには、時間が掛かります。失敗を繰り返しながら、企業内でノウハウを築き上げるしか方法はありません。

 

さまざまな課題がありますが、まずは日本企業は準備をする心構えを持つことです、これはトップにしかできません。そして、具体的な対策を講じていくことが重要です。

 

どんなに優秀でも、日本人と同等に日本語を書いたり話したりすることは外国人にとっては難しいものです。また、日本的な評価制度があいまいな昇給・昇格は、一生を日本で過ごさない外国人にとってはデメリットでしかありません。そして英語が全く話せない職場はコミュニケーションが活性化しません。

 

かといって、準備を充分にしてから受け入れる必要はありません。その仕組み自体も、採用した後に少しずつ整えていくので良いのです。どんなに準備しても、初めから成功するなんてことはありません。それならば、早く慣れることです。ダイバーシティを会社の礎にすることは時間が掛かります。

 

日本の未来を、一人一人がイメージすることで、問題は解決することができます。

 

異文化コミュニケーション研究所(R)
所長 島崎ふみひこ (shima@globalforce.link)

2018.3.1.

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