ジョブディスクリプション(JD)のポイント(3)
日本的な労使関係は、単なる「契約関係」ではありません。
職種における「境界」がなく、雇う側と雇われる側といった明確な「区別」
がない、家族的な集まりが日本企業の特徴です。また日本企業では、職種を
跨いだ「移動」がよくありまが、それは、その人の実力を多面的に評価した
上で、より良いキャリア、更なる能力(スキル)アップのチャンスを与える
ことに繋がっています。
契約の関係とは、神と人との契約といった考え方に近く、日本人の持ってい
る漠然とした神、漠然とした仏といったものとかなり違います。そのため、
正直、私たちは分かったようでわかっていないのが事実です。
ですから日本的な企業経営を否定するようなことは、私たちの「個性」を放
棄または抑えつけることになるため、避けなくてはなりません。そんなこと
をしても、理解できていないのですからうまくいくはずがありません。
ただジョブ型の良さをよく研究して、そのエッセンスを取り入れることです。
事実、今は貧しかった頃の日本のように、組織に所属することが一つのステ
ータスであり、組織が弱い自分を守ってくれる時代ではありません。個人と
組織が対等になり、個人の能力を評価してくれる会社を皆が望み始めていま
す。
その価値観を、日本企業はこれから受け入れていくことが必要です。
一見すると相いれないようにも感じるかもしれませんが、水と油でできている
ドレッシングが野菜の味を絶妙に引き出すのと同じように、乳化するまで振る
(しっかり考える)ことで、貴社らしい「ジョブ」の出し方が見えてきます。
島崎ふみひこ
異文化コミュニケーション研究所(R)
日本企業のダイバーシティ教育、高度外国人財の採用・活用