ジョブディスクリプション(JD)のポイント(5)
紀元前における、西欧的な労働に関する考えは、
『労働とは、神から人間への「罰」的な性格が強く、「苦役」である』とい
うものです。だからこそ、労働から「解放される」ことを望む傾向が今でも
続いています。
中世以降、「社会貢献」や「自己実現」など、肯定的な捉え方もされるよう
になっていますが、やはり、労働から解放されることで「幸せ」になるとい
う考え方が今でも続いているように見受けられます。
そのため、西欧の人たちは、若くして巨万の富を得ると、直ぐに「リタイ
ヤ」して残りの人生を楽しむ「生き方」を選ぶ傾向があります。
その視点でジョブディスクリプション(JD)を考えてみると、JDとは『苦役リ
スト』と言うことになります。
一方で、日本企業で働く多くの日本人は全く違う「価値観」を持っています。
日本人の根本的な仕事への考え方は、働くことを通して、「世の中の役に立
っている」ことが感じられ、社会の一員としての「生きがい」も感じ、そこ
から自分の存在価値を得られることで、「やりがい」さえ感じて仕事に取り
組みます。
ですから、多くの日本人は長時間の残業をしていても、苦しい、辛いとはあ
まり考えずに、皆と共に仕事をすることに「充実感」さえ感じます。
この大きなギャップを初めからきちんと埋める必要が、「日本的なJD」には
あります。
そのために重要なことは、貴社の企業理念や、目指す社会貢献への思いをJD
の中に分かりやすく示した上で、業務内容の「意義」や「使命」を感じても
らうことが、優秀な外国人従業員には特に必要です。
島崎ふみひこ
異文化コミュニケーション研究所(R)
日本企業のダイバーシティ教育、高度外国人財の採用・活用