3つの学問
私の知る限り、日本人ほど、哲学的に《人の道》を追求する国民性を知りま
せん。
もちろん中国では孔子や孟子、荀子を代表として、素晴らしい過去の教えは
ありますが、中華大革命の後、その文化は色褪せてしまったように見えます。
またインドも仏教や儒教、ヒンズー教といった宗教を中心とした「教え」は
ありますが、日本の《道》的なものとは違うような気がしています。
また日本も、経済第一主義の資本主義社会の中にどっぷり浸かってしまって
いるため、学問の目的が受験戦争に勝ち残るためという狭義なものになって
しまっていることも事実で、私たちはそれを反省するときに来ているのだと
思います。
確かに『金儲けが上手な人』は、経済を回す力を持ち、多くの人々が生活の
糧を得る組織を作る能力に長けていることで、評価されることに異論はあり
ませんが、人の人生、《人の道》という視点から眺めてみると、人生におい
てはほんの一部の能力でしかないのではないでしょうか?
安岡正篤によれば、学問とは以下の3つに分けられているそうです。
○知識の学問:理解力や記憶力を働かせる学問
○智慧の学問:経験を積み、思索を重ねる、人格的な学問
○徳慧(とくけい)の学問:徳に根差した学問
今は一番初めの『知識の学問』だけしか行われていないように感じます。
日本に留学して学んでいるとても優秀な留学生たちに、是非日本人の礎とな
っている《人の道》を究めるための生き方を含めた【日本】という国の良さ
を、智慧と徳慧と共に体感して欲しいと思います。
そして、私たち自身も、もう一度、代々引き継がれているこの文化をもう一
度振り返ることで、それぞれの《人の道》を究める豊かな人生を歩んでいき
たいですよね。
島崎ふみひこ
異文化コミュニケーション研究所(R)
日本企業のダイバーシティ教育、高度外国人財の採用・活用