コラム

第70話 クリスマスツリー

最近読んだ週刊誌によると、NYCのテロが発生した後、多くの日本人が現地でとても『情けないこと』をしたそうだ。

一つは、ちょうどテロのあったときに新婚旅行でNYCを訪れていたカップルに、アメリカのテレビ局がインタビューをした際のこと。惨劇に対してコメントを求められているのに、何を勘違いしたのか『ニコニコ』して答えたとのこと…..。

そして、もう一つが日本人留学生の行動。

WTCの瓦礫の下から生存者が携帯電話で救助を求めたことが報道をされたのは、皆さんも記憶に新しいと思う。

「生存者がいた!」一途の望みが、一人でも多くの生存者を助けたいと、不眠不休で働いていた人たちに力を与えた。

「また生存者から居場所を知らせる電話が掛かってくるかもしれない….」と、その崩壊したビルの周辺では、携帯電話の回線が不足すること避けるため、使用を規制していたそうだ。

多くのボランティアもお手伝いをしている中、ある日本人の留学生が日本の友達にでも『実況中継』をしているらしく、携帯で電話をしていたそうだ。

もちろん、他の人が注意をした。しかし、その留学生は、英語が理解できなかったのか、意味がわからなかったのか、無視し続けて電話をしていたらしい。

情けない….。

もちろん、すべての日本人がそんな行動をとったとは思わない。
きっと、ボランティアの中に心ある多くの日本人留学生が混じっていると私は思う。

しかし、どうしようもない奴もいることも事実のようだ。
少なくても、これから留学を目指す人たちは、そんな「どうしようもない」連中にはならないでほしい。

私が留学をしていた頃、あるアホな留学生たちがいました。

その連中は、よくいる『アメリカにいながら日本人の友達しかいない連中』で、アメリカの自由の精神を履き違えた行動を取っていました。

秋の学期が終了し、クリスマス休暇が始まりました。開放感からか、単に破目をはずしたからかはわかりませんが、彼らは、学校の大きなモミの木にデコレーションをしたそうです。

それも、トイレットペーパーで…..。

私はその現場を見たわけではありませんが、数人の日本人留学生が騒ぎながら、トイレットペーパーのロールを空中に投げている様子が見える気がします。

ご存知のように、トイレットペーパーは水に溶けます。
しかし、モミの木に付いたトイレットペーパーは、時と共にボロボロになり、醜く葉にこびり付きます。簡単に取れるものではありません。

他の生徒はどう思ったでしょう。彼らは『日本人は….』と思ったに違いありません。留学を心がける人たちは、是非自分の行動に責任が取れるようになって下さい。そして、異なった文化、習慣、民族の「掛け橋」になって下さい。

一度こびり付いたトイレットペーパーが簡単に取れないのと同じように、一度付いた偏見は容易には取れないものですから….。

[2001年10月11日発行]