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「違い」を恐れず、「可能性」と見ていれば…

昨晩、妙にリアルな夢を見た。
どうやら私は、10年後の未来に迷い込んでしまったらしい。

そこは、大半が背広を着た中高年ばかりのオフィスだった。昭和レトロ…というよりも、時間が止まってしまったような空間。机の上には紙の稟議書、FAXがまだ現役、そしてどこかの会議室からは「前例がない」という魔法の呪文がこだましていた。

あぁ、思い出した。この会社、かつて話題になったのだ。多くの会社が、従業員の門戸を外国人にも開き初めていた頃、「日本人の心に価値がある」「ウチにはウチのやり方がある」「文化が違うと面倒だ」「指導コストがかかる」と、Globalフォースの採用を一貫して拒み続けた伝説の企業である。

10年前、世の中はすでに大きく変わり始めていた。
人口減少。若手人材の枯渇。技術の急速な進化。
一方、世界中から優秀なGlobalフォースが、日本に魅力を感じ門を叩き始めていた。

でもこの会社は、門を開けなかった。

その結果――

オフィスは閑散としていた。
定年後の再雇用者ばかりが目立ち、若手社員の姿はほとんどない。
いつの間にか技術は旧式化し、かつての競合が、グローバルに活躍している中、細々と国内の取引先と、旧来のビジネスを続けていた。

あのとき、一歩踏み出していれば。
あのとき、多様な視点を受け入れていれば。
あのとき、「違い」を恐れず、「可能性」と見ていれば――

そんな後悔の念が社内の空気から滲み出ていた。

夢の最後、私は社員の一人に声をかけた。
「Globalフォース、結局一人も採らなかったんですね」
彼は寂しそうに返事をした…..。
結局、会社は「人」なんですね…と

そこで目が覚めた。

目覚まし時計が鳴る少し前。
なんだか妙に、リアルで、考えさせられる夢だった。

異文化コミュニケーション研究所(R)
島崎ふみひこ