コラム

第4話 保険には絶対入っておくこと!

旅行に出かけるときに、昔の人はよく「水に気をつけて」と言ったものだ。昔の人の知恵だよね、これって。若いときって、全然気にせずにいるけど、これはとても大切。水なんて世界中同じと思っていたら大違いだからね。確かにどこの水も無色透明、無臭、味なしではあるけれど、目に見えないだけで、中身が全然ちがう。

たとえば、ヨーロッパの水は硬水。アメリカや日本の水は基本的に軟水。

最近は日本茶もティーバックがあるから、海外に旅行に出かけてもすぐに日本茶が飲める、ありがたい話だ。そこで、ヨーロッパ等、硬水の地域に行く機会のある人に是非試してほしいことがある。たいした事ではないので、化学の実験だと思って好奇心を持ってトライしてほしい。

それは、お湯を沸かして、その中に持って行ったティーバックをカップにしばらく置くことだ。(?_?)

多分10分もしないうちに、誰かがタバコでも中に入れたんじゃないかと勘違いするほど、茶色くなって、その上に膜がはってしまう。ヨーロッパの人が柑橘系のレモンをよく食べた理由は、この石灰質が体にたまるのを防ぐためだとも言われているくらいだ。

それじゃ、アメリカの水は日本と同じカテゴリーだから大丈夫だろうと思ったら、これもちょっと違う。化学的にどうこうというわけではないけど、体力の落ちているときに違う土地の「生水」を飲むと体調を悪くする。下痢をしたり、気分が悪くなったり、理由もなしに体がだるかったりするから大変だ。

それに、水道水の水をそのまま飲める国だって世界中でみたらとても少ない。
ちなみに、ガンジス川のあるインド。大体見当がつくだろうけど、気をつけないと大変。ある友人が仕事でインドへ出張に行ったときにホテルに置いてあったミネラルウォータのビンを見て驚いたそうだ。なんと”virus free”と書いてあったのだそうだ。つまり、彼らの感覚では「細菌」が入っているかどうかが、ミネラルウォータの基準の一つだってことだろう。(f^^;)

余談だけど、私の勤めている会社の人の若い頃(30年近く前)、海外へ、それも超未開の地へ出張に出かける時の苦労話を紹介したい。もちろん、そんなアフリカの奥地や、インドの秘境にまともな病院があるわけがない。だから、病気になったら大変なことになる。現地で病気にならないように気をつけなければならない。

そこで、何をしたかというと、人間の持っている「自然治癒力+免疫力」を最大限に活用して、体を「現地化」させるのだそうだ。でも、この方法はあまりにも過激だから、皆さんにはお勧めしないので、くれぐれも試さないでほしい。

具体的にはこうだ、まず現地の飛行場へ到着する。少なくとも、飛行場があるくらいだから、病院の一つや二つはある。ちょっと安心して、長旅の体の疲れを2、3日ゆっくりして取るのだそうだ。その後が驚異なのだけど、体力が戻ってきたら、現地の水をがぶがぶ飲むのだそうだ。(@_@)

当然、熱が出たり、下痢をしたりと大変なことになる。そして、病院へ行って医者に体を治してもらうのだそうだ。この期間の辛さは、七転八倒だそうで、ベットの上でのた打ち回ることもあるとのこと。

しかし、数日もすると、体の「自然治癒力+免疫力」で、回復するのだそうだ。
すると、何と体は「現地化」してしまい、どこに行っても大丈夫状態になる。
…とのこと(^^;)

ここまでして、仕事をしたのが私には信じられないけど、高度成長期を支えた日本のサラリーマンは強かったんだろうね~。さてさて、いずれにせよ、ここはお年寄りの忠告をよく聞こう。さすがに細菌の入った水は、どれだけ長くそこに滞在してもやっぱり「やばい」けど、普通の水なら(何が普通の水だか定義は難しいけど)、そこに3ヶ月も滞在したら、体に自然に抵抗力がつくから、大丈夫。それまでは、ちょっと気をつけよう。

それから、この三ヶ月という期間は一つの大切な目安になる。
緊張の糸が緩むせいか、それとも体力的に疲れが出る頃だからかは不明だけど、三ヶ月を過ぎた頃に体調を崩しやすい。これは、どんな薬を飲んでも治らない。せいぜいビタミン剤や点滴で栄養補給をすることしか手はなく、数日間安静にして体力が戻るのを待つしかない。体調を崩すってことは、他の国での生活が肉体的にも、それなりに大変だってことだろう。

さて、外国で病気になって頼りになるのは、お金だ。
どんなに素敵な友人がたくさんできても、病気だけは治してくれない。やはり、お医者さんに診てもらう必要がある。それには、お金が必要だ。当たり前かもしれないけど、日本で病院に行ってもあまり大きなお金を支払わなくていいのは、健康保険という制度に入っているからだ。もしも、健康保険に入っていなかったら、今払っている金額の何倍ものお金を払う必要が出てくる。つまり、外国でお医者さんにかかったら、とっても大きなお金が必要ってことだ。

ぼくも、アメリカにいる間に数回病院に行くことになった。
一度目は「アリに背中を刺されたとき」、それから何度かの「食中毒(食あたり)」、「腰痛」、「風邪」、「脳震盪を起こして検査したり」等々、たった4年間だけでこれだけ病院にお世話になった。(一度は、救急車を呼んだこともある)

救急車だって有料だからね、アメリカでは。
だから、絶対に「保険」に入っておくべき。保険会社各社から、いろいろな海外旅行保険が出ているから、出かける前に加入しておくように。それだけで、安心していられるからね。年間2~3万円は掛かるけど、実際に病院にかかったらもっと掛かる可能性が高いから、本当に安いものだよ。それに、使わなくてすむならそれに越したことはないからね。

最後に、留学する前には歯の治療だけは済ませておこう。歯だけは保険対象外の場合が多いから、この辺も要チェックだ。生身の人間は、転べば怪我もするし、へそを出して寝ていれば風邪もひく。家族に守られてバランスの取れた食事や、生活習慣なんて、留学先では期待できない。自己管理がとっても重要だから、まずは「快食、快眠、快便」。そして
適度な運動。でも、病気にかかったら無理せずに病院に行こう。

そういうことだって、大切な体験になるからね。
たかが数万円をケチらないようにね。

P.S.
イギリスでは、ちょっと制度が違って、町医者制度があるため、ちょっとした病気ならたしかほとんど無料だったと記憶しています。いずれにせよ、保険には忘れずに入っておこう!

ちなみに、日本で入り忘れても、現地で旅行者用保険があるので、忘れた人は元気な内に加入しよう!(^^)v

[1999年10月28日発行]