コラム

第23話 旅行 – 野宿でもう一丁!

前回は、ディズニーワールドでの野宿の失敗例を紹介しましたが、今回はさらに、もう一丁。野宿って、体に悪い!って例をご紹介しましょう。(f^^;)

ディズニーランドでの野宿に失敗した私たちは、それに懲りずにその年の最後の日をアメリカ最南端、キーウエストの堤防ですごすことにした。つまり、また野宿である。前回失敗した雪辱を克服すべく準備をした。

キーウエストはとてもきれいな場所だ。特に記憶に鮮明に残っているのは、よくコマーシャルでも使われるフロリダ半島からキーウエストへ伸びている「海の上を走るハイウエー」だ。普段はバスを夜使用していたが、さすがにこの風景を夜見ても面白くないので昼間に乗り込み、真っ青な空と海、そして白い雲、その中を突っ走るバスの「一番前」に陣取り、子どものようにはしゃいでしまった。

冬の荷物を背負って、キーウエストの島を歩くのはとても苦痛だったけど、途中黒人の人たちが私たちに向って”You made it! You made it!”と励ましてくれたりして、ちょっとした冒険家気分だったりした。(^^;)

日中あちらこちらを歩き回り、金持ちの観光客を斜めで見ながら、夜を待った。さ~野宿の準備だ!

12月31日。夜9時ごろ…
前回の教訓から、「浜辺で野宿していては、また警察に連行されるかもしれない」。と思い、『それなら釣り人たちのキャンピングカーの停まっている堤防で、車と車の間に毛布を広げて寝れば、多分警察も気がつかないだろう!』と、「浅知恵」を絞り、大晦日の夜を過ごすことにした。

なんとすばらしいアイディア!と思ったものの、これは自殺行為だった。
経験者は忠告する。野宿は絶対に堤防でしてはならない。

ありゃ、めちゃくちゃ寒い!

赤道の近くの常夏状態の場所でも、波しぶきが掛かり、はじめのうちは気がつかなかったが、時間が過ぎるにつれ、段々毛布が海水で湿ってくる。そして、2~3時間の内にびしょびしょ。眠れたもんじゃない。朝を迎えるころには、顔面蒼白!ブルブルしながら太陽が昇るのを待つことになってしまった。

あまりの無残な様子(半分、濡れねずみ状態!(^^;))に、朝になったら、隣のキャンピングカーの叔父さんが、「野宿するなら草むらの方がいいよ」と、優しく(?)忠告してくれた。

いずれにせよ最大の目的の一つ、新年をアメリカ最南端のキーウエストで迎えることはできた。水平線のかなたから登ってくる「初日の出」、ひどく感激した。旅の間重いながらも持ち歩いていた母親から送ってもらっていたレトルトの「赤飯」、封を開け暖めずにそのままほうばって、新年を迎えたのであった。

親の愛とはありがたいものである。英語もまともに書けない親が、子どものためにと「日本の正月を味合わせてやろう」と壊れないように丁寧に布でくるんで、小包にして送ってくれたのだ。本当に、感謝、感謝だ。

初日の出を見ながら、親の健康や、自分の留学の成功を祈願した。
感激の一瞬!

しかし、その隣で日本人観光客のね~ちゃんたちが、「キャアキャア」いいながら記念写真を撮っていたのは、ちょっと腹が立ったが….。最近世界中どこにでも、日本人っているからね。

結論:屋根と、暖かい布団のある生活って、本当にシ・ア・ワ・セ!

それじゃ!(^^;)

[2000年3月9日発行]