コラム

第40話 Table for Two

前回に引き続き、今回も数字に関連する(?)話です….。(ホンマかいな?)….(f^^;)

たぶんほとんどの人はご存知だろうが、アメリカで中指を立てることは、相手を侮辱することを意味する。その意味をどの程度理解しているのかわからないが、よくコンビニの前で座り込んでいる不良連中が写真を撮るときに、いいきになって中指を立てたりしている。しかしだ、意味もわからずにやたらとそんなことはしない方がいい。

私たち日本人が考える以上に、その行為には強烈な意味があるからだ。完璧に相手を怒らせてもいいと思っているのなら別だが、ちょっとしたファッションのつもりや、「このバ~カ!」程度の、非常に軽い気持ちでこれをアメリカでやると、場合によっては殺されるかもしれない。そのくらい、シビアなことだということを覚えておくといい。

実際に、ある留学生がアメリカのハイウエーで、前をノロノロと走っていたポンコツ車に腹をたて、追い抜くときにその「中指」を立てていったところ、相手は非常に怒ったらしく、すかさず猛スピードで追いかけて来て、その追い越しざまに、なんと拳銃を発砲!その弾は、ガソリンタンクの上に穴をあけてしまったそうだ。もしもタンクに命中していた
ら、それこそ大爆発をしたかもしれない!南無阿弥陀仏….!(@_@)

ちなみに、これも知っているとは思うが、この中指の意味は『男性器』を意味するのだから、男に対してならどういう意味になるか、また女性に対してならどういう意味になるか、よ~く考えてみよう。間違えを起こさないためにも….(^^;)。

さて、この侮辱の表現は国によって異なってくるところが面白い。私が以前なるほどな~と感じたのは、ヨーロッパの方法だ。これが意外に日本人に知られていないので、ヨーロッパに旅行の最中、知らず知らずのうちに、相手を侮辱している可能性がある。マ~いらぬトラブルを避けるためにも、私の経験を参考にしてもらいたい。

それは、V(ブイ)サインだ。

やったね!という意味で、日本でも人差し指と中指を立て、それ以外の指を丸める。そして、相手に向ってその形のまま手の平を向けるのが、V(ブイ)サインだ、….もちろん、これなら全く問題ない。(^^)しかし、問題なのは、手の平を相手に向けるのではなく、手の甲を相手に向ける場合だ。

これがなんと、アメリカ式の「中指立て」に相当するのだ!(f^^;)

このことを私が知ったのは、イタリアのあるレストラン。二人分の席を準備してほしいと頼んだときのことだ。もちろん、そのときは私は「手の甲を向けたVサイン」にそんな意味があるなんて知るよしもなく、英語が通じそうにないウエーターにこちらが二人であることを理解してもらうために、数字の2という意味で、指を立てたのである。

もちろん、何気なくしたしぐさだが、私の手を見たウエイター。ラテン系の乗りで、とても大きな目を見開き、イタリア語で捲くし立て、首を横に振りながら、こりゃまた大きなジェスチャーで、『それは、それは、ご無体なお客様!』とばかりに腕で大きく宙に円を書いた。

その時点で、私はまったく意味がわからず、もう一度二人分のテーブル!!
とばかりに、もっとはっきりとさっきと同じVサインを見せた。すると、今度はそのウエイター、頭をテーブルにぶつけるようなジェスチャーをして、今までまったく英語が通じない振りをしていたのに、突然英語で話してきた。

私は、「なんだ、英語分かっているくせに!」と思って、テーブルがないのかもしれないと思い、「テーブルがないのか?」と質問すると、「テーブルはあるが、その指は間違いだ」。と意味の分からないことを言ってきた。

私は、「何を言っているのか分からない」と伝えたところ、彼はなるほどと思わせる話しをしてきた。『それじゃ、お客様。1人分のテーブルを頼むときに、こうやりますか?』
といって、私に中指を立てて見せたのだ….。(f^^;)

なるほど!私はその時点で、やっとそのウエイターが言っていることがなんとなく理解できた。しかし、ちょっと不思議に思ったことがあったのでさらに「それじゃ、二人と表現するにはどうしたらいいんだ?」と質問してみた、すると普通のVサインを見せたのだ。

なるほど、なるほど!

以前、パロディーの写真集で、イギリスのチャーチル首相がVサインを逆にしていたのがあったのだが、全く意味が分からなかったことが、これで意味が判明した。それぞれのお国柄で、いろいろなことがあるものだ。外国から来た人に対しては、もちろん相手もそんな侮辱の意図がないことは知っているので、そんなにトラブルを起こすことはないが、自分のやった行動で相手が不思議がったり、不快な顔をしたら、率直に質問するのがいいだろう。相手も説明できる範囲で教えてくれるからね。(^^)

最後に、インドでは、「ハイ」と返事をするときに、首を横に倒すことを「マメ知識」として教えておきましょう。ビートたけしの癖とそっくりにちょこっと首を曲げるしぐさは、結構オチャメ。体の大きな人がそのしぐさをすると、ちょっと可愛かったりする….。それじゃ!(f^^;)

[2000年7月13日発行]