コラム

25.え?また引き抜かれた?《2021年》

従業員を労働力としてみると、できるだけ安く採用し、できるだけ長く働かせることが、資本主義の資本家的な発想になります。ところが、世の中《そうは問屋が卸さない》もので、その労働力を引き抜くために、より高い給与を提示する会社が出てくるのはごく当たり前のことです。

日本はまるでカルテルのように、ほとんどどの業界も新人の給与はほぼほぼ同じです。どんなに優秀でも、どんなに愚鈍でも、同じ給与でスタートします。これはこれで、息の切れる競争社会で熾烈な争いをする訳ではないので、幸せな村社会のような生活が送れます。でも、これは長~い人生を一つの会社組織の中で過ごすことを前提にして、年功序列で、毎年毎年給与が上がっていくということが大前提にあるわけです。

でも、外国人従業員にとっては、その大前提(定年まで勤める、年功序列システム)が元々ない上、自分でキャリアアップを考えることが、彼らの「本能」ですから、入社する段階から、優秀なら優秀なりの評価を会社に求めることになります。

そのキャリアアップを目指す視線は、社内だけに向けられている訳ではなく、他社にも向けられていること、その上、外国人同士の情報網は素晴らしく、単純労働者についていえば、時給が10円違っただけでも、平気で転職をするものです。

皆さまの会社が、業界で常に一番の給与を出せるのであれば別ですが、そうでない場合、どうやってその「芋ずる式の引き抜き」連鎖を止められるか、真剣に考えておかなければなりません。単に、給与が高い会社の悪口を言っていても始まりません。

ホワイトカラーの場合、キャリアップのための転職であることを忘れてはなりません。今の仕事、今の役割が、本人の将来のキャリアにとって重要なプロセスであるという認識を持ってもらうことが大切です。