ジョブディスクリプション(JD)のポイント(6)
働き方改革の浸透で、ある意味企業の横暴であった『単身赴任』が段々なく
なる傾向にありますが、日本では『会社都合』で、本来家族的に扱ってくれ
るはずの組織から、半強制的に「転勤」させられます。
もちろん独身で家族全員が健康であれば、そんなに問題にはなりませんが、
家族がいる、子供が学校に通っている、伴侶が働いている等々の事情がある
と、『単身赴任』という選択肢しかなく、泣く泣く本当の家族から離れて生
活をすることになってしまいます。
特に海外赴任の場合には、その隔絶のレベルはとても大きいものです。
高度外国人を採用する一つの理由が、『将来海外の現地法人の責任者として
活躍してもらう』ことを期待してということがよくあります。私たち日本人
の視点からは、とても理にかなっていると考えられるかもしれませんが、
彼らにも家族がいます。私たち日本人と全く同じような「問題」を抱えてし
まうことになります。
また、多くの日本人は勘違いしていますが、彼らの多くは日本に住みたいた
めに、日本企業に勤めたのです。そのため、母国に返してあげるというのは
『ありがた迷惑』そのものになってしまいます。
さらに、現地で日本と同じ金額の給料を貰えるのであれば、多少は納得しま
すが、『現地水準』になると知ると日本の給与の「何分の一」という世界に
なってしまい、突然やる気をなくしてしまうのが現実です。確かに現地で生
活するにはそんなにお金はいらないのかもしれませんが、欲しいのは「比較」
ではなく、「絶対的な金銭」なのですから、その辺りを良く考えておく必要
があります。
つまり高度外国人をどのように活用するのかは、きちんと事前に「貴社独自
のジョブディスクリプション」の中に記載して、本人と良く協議をしておく
ことが必要になります。それをしないから、『こんなはずじゃなかった』
というガックリ感が、双方に発生してしまうのです。
島崎ふみひこ
異文化コミュニケーション研究所(R)
日本企業のダイバーシティ教育、高度外国人財の採用・活用