4. 西欧と日本の労働に関する捉え方
毎日新聞「働くとはどういうことか」は、歴史的な視点で、西欧と日本の労働に関しての捉え方が整理がされており、とても有用な資料です。
日本が今後、多くの高度外国人財を西欧からも採用・活用していくにあたり、この歴史的な労働観の変化を理解しておくことで無用な摩擦を避けることができると共に、私たち日本人も時代と共に労働観が変化してきたことを知っておくことで、これから外国の異文化との融合により新たな労働観が生まれてくることを受け入れることができます。
下記に内容のポイント並びに、参考資料を添付致します。
【西欧】
1.古代ギリシャ:労働は卑しいもの
ギリシャ神話:神の罰とする労働起源
2.初期キリスト教・ユダヤ教(『旧約聖書』創世記):労働は「原罪に与えた罰」
3.キリスト教『新約聖書』:働こうとしない者は、食べることもしてはならない
4.中世・キリスト教:勤勉な労働が魂を救済する
5.産業革命時代(18世紀半ば):「良い仕事」と「悪い仕事」
6.20世紀:「人間中心」の労働への関心が高まる
7.21世紀:働くことの意味は「自己実現」にある
【日本】
1.日本人の職業倫理(江戸期から確立)
2.明治初期の日本人は「勤勉ではない?」
3.明治中期以降の日本人は「勤勉を植え付ける教育」
労働には精神的な「意味」が必要
○古人は額に汗して働けといったが、ただ衣食住を満足させるだけの労働なら虫けらでもやっていること、それで満足する者には人間としての進歩がない。(福沢諭吉『学問のすゝめ』)
○人はパンのみに生きるにあらず。神の口から出る一つひとつの言葉で生きるものだ(『新約聖書』マタイ伝)
人間の労働には何らかの精神的な「意味」が必要です。掘った穴をまた埋めるような同じ作業をくり返す「達成感」のない仕事は、人間にとっては拷問同然となります。ナチの強制収容所における体験(『夜と霧』)で精神科医のV・E・フランクルは、収容所の苛酷な労働環境に耐え、生き延びることができたのは、屈強な身体を持った者たちではなく、「生きる意味」を持ち続けていた者だった、と書いています。
毎日新聞「働くとはどういうことか」より抜粋
労働の捉え方(資料)