コラム

第71話 メッセージ

日本時間の2001年10月10日に、ついに爆撃活動が始まってしまいましたね。朝起きてテレビをつけたら、そのニュースが始まっていました。外は重苦しい雲で覆われ、冷たい雨がしとしとと降っていたこともあり、休日にも関わらず、気分が優れませんでした。

どうも最近、戦争のことが頭から離れず、留学の後押しをする目的のこのメールマガジンも、知らず知らずの内にそちらの話題に成ってしまっています。

学生が留学という人的交流を深める中で、平和で幸せな世界が訪れることを望んでいる私にとっては、やるせない思いでいっぱいです。

私が留学をしていた頃、アメリカはまだソ連が健在でした。それから数年後にソ連が崩壊し、ベルリンの壁が壊されるなんて全く夢にも思っていませんでした。

当時、合衆国大統領のレーガンは、StarWars計画を発表して、ソビエトからの核弾頭を、アメリカ大陸に到達する前に爆撃してしまうというとてつもない話をしていました。

学生だった私は、アメリカ大陸に到達する前に墜落するにしても、空中で核爆発をすれば、それこそ世界中に「死の灰」がばら撒かれるのではないか?とテレビを見ながら疑問に思っていたことを思い出します。

しかし、最近の発表によれば、当時の技術力では元々「StarWars計画」なんてできなかったらしく、単に敵国ソビエトへの威嚇だった…とのことです。

確かに、あの湾岸戦争で使ったピンポイント爆撃でさえ、命中率は10%を切ったと言っているくらいですから、宇宙で高速に飛んでいる核ミサイルに命中させる技術たるものや、相当難しいであろうことは今の私たちには想像がつきますよね。

そして、この発表が本当だとすると、世界中の人たちに、アメリカ政府は堂々と「ウソ」を吐いていたことになります。

目的によっては「嘘も方便」でしょう。第二次世界大戦中の大本営の嘘で塗り固められた発表も、当時はきっとこの「方便」だと考えていたに違いありません。

これは、良し悪しの問題ではなく、メディアの情報でさえ、そんなものであることを忘れてはならないということです。ですから、しっかり、自分で考え、情報を取捨選択する力をつけることがとても重要だと思っています。

これは、留学中でも同じです。
今では、インターネットのおかげで情報が容易に取れるようになり、情報不足や偏りは少なくなっているので、情報のない不安感は取り除かれたといえます。しかし、その溢れるほどの情報の中で、勇気をもって真偽を判断する力を持つことが必要だと思います。

日本の文化では、上司や同僚に対して、相手の立場を尊重するあまりに、自分の意見をはっきり進言することははばかれます。しかし、英語の文化は違います。是非留学中に、相手の立場を尊重しながらも、しっかりとした自分の意見を持つ力を養って下さい。

今の日本は、「意見を言ってはいけない雰囲気」を通り越して、「意見を持ってはいけない」といった風潮がある気がします。意見を持つことは、勇気を持つことです。

間違いだと思っていても、誰も止めることができないようでは、それこそ、第二次世界大戦を行っていた誰もが「私はあの戦争には反対だった」と終戦後口を揃えて言っていたあの時代と変わりがありません。

Think by English. What do you want? What should we do?
Believe what you think. Be strong.
We are living this world, we are the members, not observers. Do action.

クリスタル

[2001年10月18日発行]