「伝わっているはず」が一番危ない:高度外国人財とのコミュニケーションを変えた一つの工夫
「ちゃんと説明しているのに、なぜか伝わっていない気がする」
高度外国人財を採用した企業の多くが、最初に直面する壁が“コミュニケーション”です。
言語の問題だと思われがちですが、実際にはそれだけではありません。
むしろ、本質的な課題は「伝え方」と「前提の違い」にあります。
都内のIT企業で人事を担当する佐藤さんも、同じ悩みを抱えていました。
同社ではグローバル展開を見据え、インド出身のエンジニア・ラジェシュさんを採用。
技術力は申し分なく、日本語も日常会話レベルでは問題ありませんでした。
しかし、プロジェクトが始まると、徐々にすれ違いが生まれていきます。
上司は「なるべく早めに対応してほしい」と指示したつもりが、ラジェシュさんは他タスクとの優先順位を考え、数日後に対応。
会議では「問題ないです」と答えていたのに、後から仕様の理解がずれていたことが判明。
提案を求めても「指示通りにやる方が良い」と遠慮してしまう。
現場からは「主体性が足りないのでは?」という声も上がり始めました。
一方で、ラジェシュさんにも戸惑いがありました。
「優先順位が明確でない」
「何が重要なのか言語化されていない」
「会議で本音が分かりにくい」
「“大丈夫”と言っても、本当にOKなのか不安」
つまり、お互いに“ちゃんとやっているつもり”なのに、認識がズレていたのです。
この状況を変えたのは、あるシンプルな取り組みでした。
それは、**「曖昧な言葉を使わないルール」**です。
具体的には、
- 「なるべく早く」→「いつまでに(例:明日17時まで)」
- 「いい感じに」→「どの状態がゴールかを明示」
- 「問題ない?」→「理解内容を説明してもらう」
さらに、指示を出した後に「理解した内容を本人の言葉で説明してもらう」プロセスを導入しました。
最初は現場から「そこまでやる必要があるのか」という声もありました。
しかし、数週間後には明らかな変化が現れます。
タスクの遅延が減少
認識のズレによる手戻りが減少
会議での発言が増加
提案の質も向上
そして何より、ラジェシュさん自身がこう言いました。
「何を求められているのかが明確になり、自信を持って動けるようになりました」
この変化は、外国人社員だけでなく、日本人社員にも良い影響を与えました。
指示の質が上がり、コミュニケーションが整理され、チーム全体の生産性が向上したのです。
この事例が示しているのは、コミュニケーションの問題は「相手の問題」ではなく、「設計の問題」であるということです。
高度外国人財は、能力が高いからこそ、曖昧な環境では力を発揮しにくい側面があります。
逆に言えば、明確なコミュニケーション設計を行うことで、その能力を最大限に引き出すことができるのです。
「伝わっているはず」という前提を疑うこと。
そして、「どうすれば確実に伝わるか」を仕組みとして設計すること。
それが、これからの組織に求められるコミュニケーションのあり方ではないでしょうか。
《今回のポイント》
- コミュニケーションの課題は語学ではなく「前提」と「伝え方」の違いにある
- 曖昧な表現は認識ズレの原因になる
- 指示は具体的な期限・成果・優先順位まで明確にする
- 「理解の確認」を仕組みにすることでズレを防げる
- 明確なコミュニケーションは日本人社員にも好影響を与える
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「世界トップレベルの研究・専門性」を持つ学生たちが集結しました。
エジプト 東京大学 大学院 修士:工学系研究科(社会基盤学)
フランス 早稲田大学 大学院 博士:基幹理工学研究科(数学)
中国 慶應義塾大学 大学院 博士:理工学研究科(情報工学)
マレーシア 東京科学大学 大学院 博士:工学院(機械系)
アメリカ 東京科学大学 大学院 修士:物質理工学院(材料科学)
スペイン 慶應義塾大学 大学院 修士:理工学研究科(JEMARO/ロボティクス)
【前回参加者のバックグラウンド】
主要大学: 東京大学、東京科学大学(旧東工大)、早稲田大学、慶應義塾大学、横浜国立大学、電気通信大学 ほか
学位: 博士課程・修士課程の院生が中心
専門分野: 機械工学、情報理工(AI・IT)、材料科学、数学、公共政策など
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異文化コミュニケーション研究所(R)は、「国費外国人留学生の紹介」、「グローバル人財の採用・活用に関するコンサルティング」のスペシャリストです。
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