「なぜ評価されないのか、分かりません」
― 高度外国人財の評価制度に潜む、見えにくい落とし穴 ―
グローバル展開を進めるD社は、高度外国人財を戦略的に採用しました。
語学力、専門性、行動力。
どれを取っても高水準で、周囲からの期待も大きい人財でした。
しかし、1年後の評価面談で、外国人社員はこう言います。
「私は、何をもって評価されているのか分かりません」
彼の評価は「平均的」。
理由として挙げられたのは、
- 周囲との連携が弱い
- 日本的な報連相が十分でない
- 慎重さに欠ける場面がある
という、どれも数値化されていない評価基準でした。
一方、本人はこう考えていました。
- 期待された成果はすべて達成している
- 自分なりに主体的に判断し、行動している
- 上司から明確な注意を受けたことはない
評価する側と、評価される側。
その間には、「評価制度は共有されているはず」という思い込みがあったのです。
D社の評価制度は、日本人社員向けに長年運用されてきたもの。
「空気を読む」
「周囲に配慮する」
「無難に進める」
こうした価値観は、明文化されないまま評価に組み込まれていました。
結果として外国人社員は、
「成果を出しても評価されない」
「何を改善すればいいのか分からない」
と感じ、モチベーションを大きく下げてしまいました。
この事例が示すのは、
評価制度そのものより、“評価の前提”が共有されていない危険性です。
《今回のポイント》
- 評価制度は「ある」だけでは機能しない
- 日本人向けの暗黙基準は、高度外国人財には伝わらない
- 評価項目・判断軸・期待行動を言語化し、事前に共有することが不可欠
異文化コミュニケーション研究所(R)は、「国費外国人留学生の紹介」、「グローバル人財の採用・活用に関するコンサルティング」のスペシャリストです。