コラム

第44話 アイスクリーム屋

あまりにも暑いので、今回はニューヨークのアイスクリーム屋さんの話をご紹介します。(^^;) ニューヨークの夏は暑い!本当に、暑い!

コンクリートの塊みたいな街並だから、日が落ちても熱を持ったままジワ~と暑さが残る感じだ。夕方ビジネスマンたちが帰路に着くころ、道端では、いろいろな人達がパーフォーマンスをしたり、路上販売をしたりしている。マ~、アジアの様に道の両端を埋めつくすことはないが、1ブロックに一人くらいの割合で興味深いものが見れる。

一度なんてなんと「鞭」を売っていた。(^^;)
背の高い黒人のお兄さんが道を歩きながら、ピシ~ピシ~と音を立てて『その関係が好きそうな人(?)』に声を掛けていた。「こんなもん売れんのかいな?」とは思ったが、買う人がいるから売っているのだろう。まさに、市場経済そのものだ。(ほんまかな?!)

さて、私が居候させてもらっていた方のアパートはクイーンズにあった。
王国ではないアメリカにはQueenがいるはずもない、ましてや複数形になっているのでその由来が気に掛かるところだが、マ~今回の話には関係ないので、話を進めよう。(^^;)

Queensなんてついているから、よっぽど高級住宅街かと思いきや、残念ながら以前書いたサウスブロンクスに近い雰囲気で、夜なんか一人で歩くのはちょっと恐い雰囲気だ。居候させてもらって文句を言う気はないのだが、そのアパートにはエアコンがなかった。ジョージア州に住んでいたので、暑さには慣れているはずだったが、さすがに夜の寝苦しさはたまらなかった。コンクリートが熱をもっているので一向に温度が下がらない。あまりの暑さに、窓の側にベットをくっ付けて熱帯夜の寝苦しい夜を過ごしたのを覚えている。

たしか部屋は4階にあったので、窓を開けっぱなしにしても泥棒が入りこむこともないと思い、昼間も熱がこもるので窓を明けっぱなしにして外に出かけていた。そのため、一度なんて雷雨に襲われてしまい、帰ってみるとベットはびしょ濡れ、英語の辞書は容積が2倍くらいに膨れ上がると大変だった。

いまだにその辞書は使っているが、ページがくっ付いてしまって、めくるのに骨が折れる。けして私は勉強家ではないが、そんな辞書を使っていると、よく「やっぱり辞書を使いこなしているんですね~!」と誉められるので、本当の理由が言えないときにはちょっと恥ずかしかったりする。(f^^;)

しかし、そんなニューヨークの夏も悪いことばかりではない。そう、突然の夕立は心踊るものがあるのだ!もちろん涼しくなるからというのも、一つの理由だが、本当の理由はいたって「不純」だ。(f^^;)日本人に比べると、アメリカ人は濡れることに対してあんまり頓着しない人種らしい。日本人のビジネスマンなんかは、夕立が止むまで軒先で雨宿りをしているのだが、アメリカの人達は平気な顔をして歩いている。もちろん、彼らだって濡れるのだが、あまり気にならないようだ。

その夕立の中、Tシャツ姿の女性は結構セクシ~!(ウッ、セクハラ寸前か!?!)ノーブラで濡れたTシャツ…。ここから先は、私の品位が落ちるのでご想像にまかせるが、夕立も楽しいものだ。アハハハハ…いかん、いかん、反省!(^^;)

いやはや、それでは本題に入ろう。
夏と言えば、アイスクリーム。屋台で売っているのは、ちょっと衛生面で不安が残るが、お腹をこわすことを気にしていては外国生活はできないから、一度や二度苦しむことは覚悟をして、何事にもトライしてみよう。何事も、人生経験だ。自己責任で、どんどんいろいろなことにトライしてみるといい。チョット無責任カナ?!(f^^;)

さて、ここで紹介したかったのは、ニューヨークのはずれにあった「アイスクリーム屋」さんだ。そのアイスクリーム屋は対面販売をしているのだが、日本とは一味違った趣だった。お店の基本的な構造は同じなのだが、日本では想像もつかない作りになっていたのだ。

なんと、お店の人とお客さんの間に、10cm位もありそうな分厚いガラスの壁があるのだ。安めの防弾ガラスなんだろうが、斜めから見ると何層にもガラスが重なっていて、非常に物々しい。しかし、読者の諸君は「どうやってアイスクリームを販売するだ?」と素朴な疑問が湧いてくるに違いない。そこで、ちょっと図で説明してみよう、上から見ている図面だ。線の部分は、10cmほどのガラスのこと。

                                お店のおねえちゃん側

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                                      お客さん側

ちょっと分かりずらいかもしれないが、隙間から商品やお金のやりとりをするので、拳銃をお店の人に向けることができない仕組みになっているのだ。アイスクリーム屋なんて、たいしてお金があるとも思えないが、こうでもしないと危なっかしくて商売なんてやってられないのだろう。つくづくニューヨークの怖さを感じだものだ。その点日本も物騒にはなってきたとは言え、まだまだ安全な国だと思う。

さてさて、今宵も熱帯夜。
タオルケットを蹴飛ばして、お腹を出して寝る癖のあるアナタ!
風邪をひかないように気をつけましょうね~。そりゃ私のことか(f^^;) それじゃ!

[2000年8月10日発行]