第67話 インドよい所、一度は~おいで!
私のインドへの出張は、今回でたしか2度目。
しかし、前回はもう4年ほど前だったことと、出張者も数人で、さらに現地のサポート付きだったこともあってあまり強烈な印象はありませんでした。
しかし、今回は出発にあたり友人から「なるべくインドの飛行機は使わない方がいい、だって飛行機の中は『腋臭(わきが)』の臭い臭いんだから!」と、強烈なコメントをもらっていたため、始めっから
ドヨ~ンとした気持ちで出発したのでした。(;
それで、飛行機のアレンジも直前でしたが、なるべくIndian Airlinesを使わないようにアレンジしました。しかし、やはりインド国内の移動ではどうしても使わざるを得ないため、途中経由したバンコクからのフライトのIndian Airlinesはちょっと心しておりました。(^^;)
そうのこうのと、初めからそういった偏見に満ちていたせいか、バンコクからバンガロールへの約5時間のフライトでは、驚きの発見(体験)をしたので、いつくかしたのでご紹介します。(f^^;)
1)飛行機に乗るとすぐに「おしぼり」が配られます。それが、一見すると「汚い」!
多分素材の綿が悪いからだと思うのですが、茶色い点々があちらこちらにあるのです。
私は、思わずその「おしぼり」を見つめ、臭いを嗅いでしまいました。それを見ていた隣りのアメリカ人のおじさんが「汚い…..よね?やっぱり….」と話し掛けて来て、お互い苦笑い。(^^;)
2)さらに、その「おしぼり」ですが、なんと匂いつき(臭いではないですが….(f^^;))。安い柑橘系の香水の匂い。たぶん、元々『別のにおい』がするのをごまかすためだとは思いますが、ちょっとゲンナリ。(^^;)
3)私の乗ったフライトは、朝早かったため朝食が出ました。
スチュワーデスさんが運んでくれたのは、コーンフレークとパン、果物、そしてケーキ。「何とも、ハムも何もない味気ない朝食だな~」と思いましたが、やっぱりインドの飛行機会社だからだろう…などと一人納得しつつ、小さな箱に入っていたコーンフレークを器に移しました。
前方から二つのポットを持ったスチュワーデスさんが来たので「牛乳を配っているのだろう」と思った私は、彼女が来るのを待っていました。
すると、様子が変です。
何故か乗っている人すべてが、ポットの中を覗いているのでした。
私は、たぶん一つのポットはコーヒーで、もう一つは牛乳だろうと思っていたのですが、いざ私のところに来たときに原因が分かりました。
彼女は、聞きづらい英語で私に”Do you want to have hot or cold?”と質問してきたのです。(^^;)
エッ?私は、言っている意味が理解できませんでした。そして、他のお客さん同様に、ポットの中身を覗いたのです。
すると、中には「冷たい牛乳」と「暖かい牛乳」が入っていました。
つまり、コーンフレークに「冷たい牛乳」を掛けるか、「暖かい牛乳」掛けるのかを聞いていたのです。コーンフレークには「冷たい牛乳」を掛けるが当たり前だと思っていた私は、ここで一つの常識が崩壊したのに気が付きました。(f^^;)
それでも、さすがにコーンフレークに「暖かい牛乳」を入れる勇気は私にはなく、「冷たい」方を選びました。(^^;)
4)飛行機の通路を挟んだ向こう側には、インド人のビジネスマン風のおじさんが座っていました。
そのおじさんは、コーンフレークの牛乳は「いらない」と、断っていました。マ~、そのまま食べるのでしょう。
しかし、その次の瞬間、私はまた唖然としました。
なんと、そのおじさん、コーンフレークを器にあけた後、スプーンを使わずに「素手」でそれを食べ始めたのです。
私は、一瞬「ヘッ?!」と、時間が止まってしまいましたが、ちょっと気を取り戻し、「….アッそういえば、インドでは素手で食事を取るんだった。….」と理解。しかし、だったら箱に入ったまま食べればいいのに…。と感じ、またまた私の既成概念は、蹴散らされたのでした。(^^;)
5)私は、食事はこれだけだろうと思っていたのですが、スチュワーデスさんは、前方で他の料理を配る準備に入っていました。
なるほど、さすがにこれだけじゃないんだ….。
と、ホッとしていたところ、前方からスチュワーデスさんが料理の注文を聞いてきました。
以前、『料理を肉の名称だけで聞いてくるなんて、邪道だ!』と、このメールマガジンに書いたことがありましたが、私は今回もその肉の種類を聞いてくるのだと思っていました。
ガッ!違ったのですね~。(^^;)
スチュワーデスさんの質問は、”Vegitalian or Non-Vegitalian?”だったのです。確かに回教徒は豚、ヒンズー教徒は牛が駄目ですからね~。なんとも、インドらしい!と一人感激しておりました。
6)食事の後は、やっぱり「自然が私を呼ぶ」わけで(f^^;)、お手洗いに行きました。
ご存知のように、飛行機の中のお手洗いはどこでも小さく、コンパクトにできていますが、このインドの飛行機はさらにコンパクト。(^^;)
そのトイレはちょうど、コックピットのすぐ後ろにあったためでしょうが、もろに飛行機の先端の丸みのところに位置していたのです。
男性の場合、立ったままで用を足すので、頭を少し前方に傾けながら「軌道」を確認するのですが(^^;)、このお手洗いはそれが難しいのです。なんせ飛行機の丸みのため、頭がぶつかるのですから….。
身長173cmの私でさえ、ちょっと仰け反ってしても頭がぎりぎりでしたから、アメリカ人なんかで背の高い人はどうやってするのだろう?と、心配になってしまいました。(f^^;)
さらに、そのお手洗い。もちろん、パイロットも使うのでしょうが、私は始めてパイロットがコックピットから出てきて、お手洗いに入って行く様子を見ました。
もちろん、自動操縦なのでしょうが、心なしか不安でしたね。
操縦、大丈夫なんだろうか…?ってね。(^^;)
7)そろそろ飛行場に到着する時間になりました。
すると、エアーフレグナンスの臭いのするスプレーをスチュワーデスさんが片手で持ち上げて、通路を飛行機の前から後ろまで「シュ~」とさせながら、行ったり来たりしたのです。
臭い消し?たしかに、臭い人たちも数人いましたが、そこまでする?と驚きました。(* *)
マ~、あれは他の国から微生物や菌を運ばないようにするための「除菌剤」なのかもしれませんが、それにしてもその空気を吸わされる私たち乗客は「いったい何?」と感じました。(f^^;)
8)私の乗った飛行機は一度マドラスに停まり、10分ほど経ってから、バンガロールへと出発しました。マドラスからは30分程度の短いフライトでしたが、最後にコーヒーとピーナッツが配られました。
それが、面白い!
元々、空気で膨れていたピーナッツの袋が、飛行機が上昇していくうちに、どんどん膨れてきたのです。
日本の飛行機に乗っても、ピーナッツとお煎餅の入った袋を配ってくれますが、膨らんだのは見たことがありません。
「イヤ~、こういうところにも、技術の差って出てくるのかな~」と我が日本の偉大さに感激してしまいました。(f^^;)
9)さて、最後にバンガロール空港への着陸態勢に入りました。
高度が下がってきたのを体感していたとき、突然コックピットの扉が開いて、パイロットの背中が見えました。
その瞬間、その場にいたスチュワーデスさんは、慌てたようです。そして、何を考えたか、先程話題にしたお手洗いの扉を開いてコックピットの中が見えないようにしたのです。(^^;)
この咄嗟の判断。
数秒後、そのスチュワーデスさんは、カーテンで仕切ればいいことに気づき、カーテンを締めましたが、着陸するまでお手洗いは開いたまんまでした。(f^^;)
マ~、一回の飛行機でこれだけ楽しい思いをさせてもらったのも久しぶりでして、やっぱり「未知との遭遇」って本当に楽しいものだとつくづく感じました。
それから最後に、飛行機で隣り合わせのおじさんと仲良くなって、名刺交換をしたので、これからメールでも書いてみようと思っています。(^^)
ちなみに、おしぼりって英語でWet Towelというのですが、これを始めて飛行機でやったのは、日本航空とのことです。そういう、心遣いって、日本的で私はとっても好きですね。
それじゃ!
[2001年3月8日発行]