コラム

16.信用は放任ではない《2022》

日本人の傾向として、コミュニケーションがうまく取れない外国人に対して、「安心できる人」「あいいれない人」のどちらかに分類する癖があるようです。

「安心できる人」に対しては、言葉が通じようが通じまいが、信頼できる仲間として行動します。それは悪いことではありません。ただ、コミュニケーションが十分に取れないため、日本人の部下なら当然するようなプロセスのチェックを怠る傾向があります。外国人は、日本人と違い、プロセスの途中でチェックを受けることを嫌がることもあり、遠慮するという面もあるようです。

これは、後々大きな問題へと繋がります。

日本が世界で高い評価を受けている最大の理由は、品質の高さにあります。同じ人間でも国や文化によって品質が異なる理由は、品質へのこだわりの有無が、個人と組織にどの程度あるかです。これは、優秀であるかどうかとは関係ありません。

私がアメリカに留学をしていた約40年前のBICのボールペンは、スーパーマーケットで10本いくらでとても安く売られていました。安さの理由は、その内数本しか使えなかったからです。安いので文句は言いません。皆、そんなものとして買っていました。日本では考えられないことです。

良し悪しではありません。価値観の相違です。

信頼しても放任してはいけません。日本企業としての品質へのこだわりを維持しようと思うのなら、外国人従業員にその文化を継承し、組織として品質を追求する必要性を根付かせていく必要があります。

日本企業の誇りを失わないことは大切です。