コラム

24.何を怒っているの?《2020年》

24.何を怒っているの?

とある大きな合唱団の運営委員をしています。コロナ禍で通常通りの活動ができなくなったことをきっかけに、さまざまな問題が表面化してしまいました。

さまざまな提案をしましたが運営委員長からは全く「なしのつぶて」。そのため、問題は解決するどころか、雪だるま式に大きくなってしまいました。

そこで問題を解決すべく、「全員」の運営委員に連絡したところ、とある方から私のことを「癌」扱いするかなり過激な文章が届きました。たぶんその人からみれば、私はそんな存在なのかもしれませんが、あまりにも感情を露(あら)わにした言動に、気分を害する前に驚いてしまいました。

そこで二つのことを学びました。

日本ではなぜか議論をすること自体が、和を乱す存在のように思う傾向がある。活発な議論をしている様子を見て、喧嘩をしていると勘違いするレベルです。そんな人からしたら、どんなに「なしのつぶて」の状態でも、それ自体が平和なため、他からの提案や意見は、安眠を邪魔する『悪』だということ。

そして、もう一つは『激情した人』には、どんなに論理的に説明しても、聞く耳を持ってくれないということです。

とある企業で、涙ながらに大きな声で自分の感情をぶつけてきた高度外国人がおりました。あまりにも感情が高ぶったためか、英語なのか、日本語なのか、母国語なのかがわからない程、言葉にならない言葉を文字通り『ぶつけて』きたそうです。

燃えている油に水を掛けると大変なことになるのと同じで、そんな人に何を言っても逆効果です。とても困っていたため、まずは鎮まるまで「落ち着いて話すように」とだけ促して、あとはずっと聞くようにと勧めました。

また通常、表向きの原因は単なる『火種』で、爆発した『大量の火薬』がどうして溜まったのかを知らないと解決はできません。なぜ『火薬』が溜まったのかを、時間を使って丁寧に掘り起こし対処することから始めることが重要です。

私たち日本人は、無意識のうちに「和」を尊ぶため、理由も分からないような激情する外国人は、まさに「和を乱す人」に見えてしまいますが、新陳代謝のためには、異なった意見は《薬》のような効果を生みます。「和」から排除するのではなく、爆発自体にも意味があると考えて、そのエネルギーが推進力に使えるように対応をしましょう。