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欲求不満

CDが世の中に出たときには感動しました。レコードではどうしても「埃」や「傷」による雑音があり、音量を大きくすればするほど、それが気に掛かったものでした。でもCDにはそれがない。大満足でした。

ところが、レコードとCDとを聴き比べると、何かが違う。微妙なダシの違いのようなもので、アナログのレコードの方が《美味しい》のです。そのため深く味わうときには、真空管アンプを使って、ゆっくり回るレコード盤を見ながら、針から伝わる振動を通して広がる空気の振動に心を委ねています。

Zoomはまるで当時のCDのようです。とても便利なツールで、その利便性のお陰で、コロナ禍の不便さを克服できています。さらに、これからは営業活動や授業にまで利用できると言われてきてます。

しかし私自身は、定着はしても、いずれみんな欲求不満になるのではないかと思っています。

まずいコンビニ弁当でも、空腹は満たせます。でも、やはり心のこもった母親の料理から得られる「暖かい家族の安心感」や、一流板前さんの絶妙なお料理から得られる「五感が刺激されるような味わい」はどうやっても得ることができません。

たとえば教室の「緊張感や空気感」、先生から突然質問を受ける「戸惑い」、自分だけが理解ができないときの「不安感」、先生から褒められたときの「充実感」は、リモートでは得ずらいでしょう。

Zoomは、一時的には良いのですが、五感を刺激できないため、欲求不満になるだろうと思うのです。

さらに、最近はアバターなるものが登場して仮想空間でコミュニケーションを取るという、まるでゲームの中での生活のようなものまで登場してしまい、現実社会とバーチャルが入り乱れ初めています。

実際の人を目の前にして取るコミュニケーションが苦手という人種が登場すると、現実社会で生きることができなくなることでしょう。心に欠陥を作ってしまいます。

私たちは、もっとプリミティブな感情を大切にして、自然に湧き上がる欲求に正直に受け入れることが求められてきていると感じます。

島崎ふみひこ

異文化コミュニケーション研究所(R)

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