異文化コミュニケーション的交渉術(タイミング)
今回は、交渉中の会議における発言のタイミングについて書きたいと思いま
す。
交渉は事前準備が重要だと何度も書いていますが、その中で「発言のタイミ
ング」がかなり重要なポイントとなります。
通常、会議というのはエンドレスに行えるものではありません。そのため、
その時間内に大勢を占めなければこちらの意図の通りに物事を決めることが
できません。時間がたっぷりあるのに、『答えはこれだ!』とやっても、皆
さん「そうかもしれないけどもっと多くの人の意見を聞きましょう…」とい
った雰囲気になりますし、また時間ギリギリのところで相手に発言権を持た
せてしまうと、どんなにこちらが正当であったとしても、風がこちらに吹き
ません。
やはり、ウルトラマンなら3分直前、宇宙戦艦ヤマトなら波動砲は戦闘の一
番最後、仮面ライダーならライダーキックは充分に戦った後に出す必要があ
ります。(全部古いですね~)
基本的には、「決め球は最後に残す」ことが重要ですが、出し惜しみしてタ
イミングを逃すと効果半減で、線香花火が花咲く前に地面に落ちてしまう状
態になってしまいます。
ただ、最後に残すとは言っても、アゲインストの風の中、カッコよく決める
のはリスクが大きくなるため、できるだけこちらに風を吹かせておいて、最
後にほとんどの人が「やっぱり、そうだよね!」と納得する流れにすること
をお勧めします。
また発言の「長さ」についても、適度なものにする必要があります。適度と
は、戦略的に意識をしてするということです。≪決め言葉一言≫という戦略も
あれば、相手が飽きるほど長く論点を不明瞭にして≪ま~そこまで言うなら
いいよ≫という戦略さえあります。
会議とは、生き物のため、その場の雰囲気に合わせて、どのような長さでも
大丈夫な準備をしておくことが大切です。
会議の出席者は全員が、交渉相手であることはあまりありません。ほとんど
の人が「傍観者」です。つまり、交渉自体にあまり興味のない人たちも多く
含まれていて、場合によっては参加者6割が、『決定に従います』という意
志しか持っていなかったりします。
その人たちの票をこちらに向けるには、どのタイミング(いつ仕掛けるか)
で、何を、どう表現(時間も含め)するかを、いろいろなケースを想定して徹
底的にシミュレーションしてみて下さい。
また、会議における議長は強大な能力を持っています。その人の気持ち次第
で、ほぼ決まり掛けていることをひっくり返してしまうことさえできます。
(たとえば、よくあるのが最後に「議長に一任する」というものです。)
たとえば、議長が、どんなにこちらに風が吹いている状況でも、冷静に、
「皆さんのご意見は分かりますが、いろいろと事情を知っている私にとって
は、別の意見があります。」と話し始めると、形勢はガラリと変わってしま
うものです。それを抑えるためには、時間ギリギリでの攻防で勝つための準
備もすること大切です。
参加者の性格、意見、考え方も配慮に入れて、『タイミング対策』是非ご準
備下さい。
異文化コミュニケーション研究所(R)
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