異文化コミュニケーション的交渉術(交渉者の覚悟)
交渉に際して、常にこちらが優位に進むとは限りません。
どんなに準備をしても、相手も様々な準備をしてくるので、こちらの隙やミ
スを突いてくるものだからです。こちらが少しでも怯むと、相手は《王手》
を仕掛けてきます。
何を仕掛けてくるのか分からないので、心の準備もできず、一撃を受けると
一瞬立ち止まることになるかもしれませんが、どんなに相手の主張が強く感
じても、心の中で負けを認めてはいけません。
必ず相手にも隙やミスがあるはずだと強気になり、レフリー(または外部の第
三者)を利用したり、何らかの理由を付けて《次回の機会》に持ち込むよう
に、そしてどちらにも取れるような表現を利用しながら「次回の期日までに
詳細をまとめて参ります。」と言えるようにしましょう。
ただ太平洋戦争で、日本軍が「相手に一撃を加えて怯んだタイミングで和平
交渉をする」といった、希望的観測の元、ずるずるとさらに戦況を悪化させ
たような状態は『最悪』ですから、場合によっては痛みを伴う決断ができる
胆力を持つことを忘れてはなりません。特に、社内の反対意見は強烈なため、
決断をした途端に、組織から排除されてしまうことも含めて「覚悟」が必要
になりますが、もっと高い視点から俯瞰して、物事が判断できるようになる
ことが重要です。
日露戦争の講和条約を締結した全権大使・小村寿太郎(外務大臣)は、国民の
怒りを買い自宅を焼き討ちされたという話ですから、交渉者はそれなりの
責任と重荷を背負っているということでしょう。
島崎ふみひこ
異文化コミュニケーション研究所(R)
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