07.それぞれの事情《2021年》
7.それぞれの事情
とある会社さまから「国へ帰すのなら会社を辞めます」と言われて困ったという相談を受けたことがあります。会社の計画では、日本で仕事を覚えて、現地法人で事業を展開してもらう予定だったそうです。
日本人の傾向として、外国人従業員は「母国へ帰してあげる」という意識があるようなのですが、これは誤りです。このように、喜ばれるどころか、退職理由になることさえあります。
既に彼らの頭の中は、グローバルなのです。
たとえ中国出身の人でも、優秀な人財だったら、アメリカでも、ヨーロッパでも駐在をさせて下さい。もう「母国」という発想は辞めるべきです。どこの誰であったとしても、そんなことは仕事とは関係のないことです。能力を正当に評価する。その意識を持って下さい。
また、家族が日本で馴染んでいるのに、わざわざ帰すというのも酷なものです。場合によっては、会社に対しての信頼感を損ねることに繋がるので注意してください。ただ、話し合うことは悪いことではありません。駐在に拘らず、長期出張という方法もあるでしょうし、本人のキャリアにとってとても意味のあることであったら、家族も納得してくれるかもしれません。
外国人従業員のリアクションに、一喜一憂するのではなく、丁寧に説明し、親身になって話し合いをすることで、誤解を生まず、お互いが納得した道を探すことができます。