「突然の退職」ではなかった
― 高度外国人財の離職理由を見誤った企業の失敗事例 ―
H社は、優秀な高度外国人財を継続的に採用していました。
語学力も専門性も高く、現場からの評価も悪くない。
人事部は「定着している」と考えていました。
しかしある日、入社3年目の外国人社員から突然、退職の申し出が届きます。
上司も人事も驚きました。
「特に不満は言っていなかった」
「評価面談でも問題はなかった」
退職面談で理由を聞いても、返ってきたのは
「キャリアを見直したい」
「個人的な事情です」
という、曖昧な言葉だけでした。
H社は
「本人の問題だった」
「仕方がない」
と結論づけ、この出来事を深掘りしませんでした。
しかし、その半年後、同じ部署で
別の高度外国人財が退職します。
さらに1年後、また一人。
そこで初めてH社は気づきます。
これは個人の問題ではなく、構造の問題ではないかと。
後から複数の退職者にヒアリングして分かったのは、
共通する“言われなかった本音”でした。
自分のキャリアが、日本でどう広がるのか見えなかった
評価が将来にどうつながるのか分からなかった
悩みを相談できる相手がいなかった
彼らは不満を抱えながらも、
「言っても迷惑をかけるだけ」
「我慢するのが大人だ」
と考え、最後まで口にしなかったのです。
H社の最大の失敗は、
「何も言われていない=問題はない」と思い込んだことでした。
離職理由は、
退職届と一緒に突然現れるものではありません。
日々の小さな違和感の積み重ねなのです。
《今回のポイント》
離職は「突然」ではなく、静かに進行している
本音は、退職時には語られないことが多い
「問題がない」という認識こそ、最大のリスク
異文化コミュニケーション研究所(R)は、「国費外国人留学生の紹介」、「グローバル人財の採用・活用に関するコンサルティング」のスペシャリストです。