コラム

第62話  世界史の教科書を持っていこう!

第二次世界大戦の前後に関して、アメリカの歴史の教科書から日本の部分だけをピックアップして、毎回皆さんに少しずつ紹介しているが、留学先への荷物として、是非世界史の教科書を一冊含めてほしいと思う。

そんな思いを込めて、今回は書きます。

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外国の異文化の人と会話するときに気をつけなければいけないトピックは、宗教と歴史だ。

キリスト教を信じている人に、一神教はおかしい!と多神教の考え方を押し付けても、絶対にお互いに歩み寄ることができない。異なることを受け入れる包容力がなければ、世界は平和にはならない。もちろん、個人ベースの場合でも同じだ。

また、歴史に関してもそれぞれの歴史観や、持っている情報の内容によって、とても難しいことになる。それを無視して、お互いに同じ「土俵」にいるものと勘違いすると、泥沼にはまる。

知っての通り、侵略を目的としたものでなければ、ほとんどどの戦争も「隣国同士」で行うものだ。だから、どこの国もお隣の国と仲があまりよくない。その事実は理解しておいたほうがいい。

本来、もっとも仲良くしなくてはならない隣国同士が、仲が悪いというのは不幸なことだ。諺にもあるように、『遠くの親戚より、近くの他人』、国同士だって同じ事。

過去の亡霊のような歴史を引きずって、未来を築き上げる人たちが将来に禍根を残すことのないように、留学中細心の注意を払ってほしい。

特に、日本人留学生の場合は韓国や中国の人たちと接するときに、「過去の亡霊」に取り付かれないように気をつけよう。

また、これを読んで留学に出る人は、世界史の教科書を留学先に持っていくことをお勧めしたい。

本当は、日本を出る前にもう一度目を通してほしいところだが、留学の出発前はソワソワしてそんな落ち着いて古い教科書を読むなんて余裕はないから、荷物の中に忍ばせて、現地についてから暇を見つけて読みなおしてみよう。

留学中はその国の学生だけでなく、他の多くの国の留学生と友人になる機会なのだから、さまざまな国からの留学生と仲良くなろう。

そして、その友人の国について教科書を読み直す。
教科書に出てくるさまざまな歴史的出来事を、実際にその相手の国ではどのようにその中身を教えているかを尋ねてみよう。

そうすることで、とても多くのことが分かる。
より深く史実を理解することもできるかもしれないし、まったく違った理解をしている事実にぶつかるかもしれない。

いずれにせよ、いい勉強になるから、是非挑戦してほしい。

ちょっと難しい会話になるかもしれないが、アメリカなら、第2次世界大戦前後の出来事について、どうやって学校で教えているのか?を尋ねてみるといいかもしれない。

また、逆に日本で教わっている内容を伝えることもいいだろう。

ただ、これはタブーに少し触れる内容だから、絶対に自分の知っている事実が「唯一無二の絶対情報」であると思い込んで話さないように気をつけること。

歴史とは、後からそれぞれの国の観点で「脚色」された物語であるからだ。「勝てば官軍。」この言葉がそれを如実に表している。だから、気をつけて勉強するといい。

人生観を広くするよい勉強になるでしょう。

[2001年1月18日発行]