コラム

第63話  ドラッグについて

1月11日版の第61話 マリファナでドラッグについてアップしましたが、
ある方から

>>かえって好奇心をあおるばかりで、また、とてつもなく「いいもの」と誤解して、手を出す子が絶え>>ないと思います。
>>(中略)
>>そんな若者達の海外生活ぶりに、眉をしかめつつ、ワクチン程度の「怖い目」を体験してくれる事を
>>期待しております。

というメールを頂きました。

なるほど、私も同感です。
それで、今回は「ドラッグの泥沼にはまると恐ろしいことになる」という話をもう少ししておこうと思います。

これから書くことは、私が留学中に聞いた話で、すべて実話です。

私が留学した当時は、まだ1ドル260円のころ。日本で奨学金をって留学人以外は、ほとんどお金持ちのボンボンと、お嬢様でした。
ですから、お金はたくさんあるし、将来の職業も「自分の親の会社で働く」といった人ばかりですから、勉強をしに来たといった意志を持った人は多くはありませんでした。

そんな人たちは、自然にお金があって暇をもてあますようになります。

そうです、ドラッグです。マリファナからはじまり、ハッシュ、クエルド、スピード、そしてさらに刺激を求めて「LSD」まではまっていく人さえいたようです。(最近はクラックだ、何だかんだと新しいドラッグが出てきますが私の記憶によれば当時そういう名前のドラッグは聞いたことがありません。)

幻覚でさえ見える世界。

ドラッグは一人でやっていても面白くありません。ですから、友人を誘って一緒にトリップしたくなります。前回書いたように、きっぱりと断ることはできるのですが、気が弱いと自分の意志とは別にその
「甘い罠」にはまります。

そして、事件が起こるのです。

あるお金持ちの留学生がいました。
彼は、十分な仕送りをしてもらって新車のトランザムさえ乗り回していたそうです。ある日、友人とドラッグをやり、森の中を猛スピードでドライブしたそうです。ドラッグをやってハイな気分でドライブをすると、これが目茶苦茶楽しい。

もちろん、お酒を飲んで運転することと同様に危険極まりない。

後部座席に二人を乗せて、ドライブを楽しんだのでしょう。
そして、何のヘンテツもない普通のカーブでその「事故」が起こりました。

大木に激突。

一人死亡。二人重体。
後部座席に乗っていた人の一人が、カーブで曲がるときに前の座席と座席との間の隙間から飛び出しました。即死だったそうです。

運転手は、事故のために足を不自由にしてしまいました。
死んだ友人のお葬式へ行くと遺族の方から「人殺し!」と罵られたそうです。長らく入院したそうですが、日本に帰ってもやり切れず、もう一度逃げるように留学という名目で再度海外に出たということで
した。

私はその人には会ったことはないのですが、ごく普通の青年だそうです。

ですから、アナタがその人にならないとは限らない。

自分が死ぬのならまだ諦めもつくでしょうが、友人を死なせてしまったのですから.....。

それから、ある人はドラッグのやり過ぎで警察沙汰になり、アメリカから国外退去状態になったそうです。

日本に帰国するときに、友人が付き添って飛行機に乗りました。

「常軌を逸していた」彼は、飛行機の中が暑いと言い出し、突然「窓を開ける」と言って、飛行機のドアを開けようとしたとのことです。もちろん、取り押さえられましたが、そんなことをしようと思うこと事態、ゾッとします。

また、ある留学生は幻覚のため、約2週間何も食事が喉を通らなかったと私に話していました。

見えるもの総てに worm が這っているように見えたそうです。
道にも、壁にも、食べ物にもです。そして、人の目や口からそのwormが這い出てくるように見えたと言っていました。

.......。

「起こってしまってからでは遅い」ってことがあるのです。

アナタの人生は、アナタしか決めることができない。留学する人は、是非忘れないでほしい。絶対に。

[2001年1月25日発行]