コラム

28.夢追い人と現実《2022》

本人と話をしました。

会社の将来に不安を感じたそうです。信頼していた先輩たちが、立て続けに辞めてしまい、会社の売り上げも芳しくないと聞いたからです。お給料はきちんともらっているのか?と尋ねると、「きちんともらっている」と言います。

彼は大学ではとても優秀で、学校から奨学金まで貰っていました。ところが就職活動がうまくいかず、困っていたところを、知り合いの方から紹介をされてその会社に勤めたそうです。就職先が決まったときには、とても嬉しそうにしていました。

あの京セラを創業した稲盛和夫さんも、就職をした会社が赤字続きで、給与も遅延するような有様に、将来を悲観して、自衛官になろうとしたことがあったそうです。ところが、実家のお兄さんが申請書に必要な戸籍謄本を送ってくれず、やむなく会社に残りました。

それからがすごい、ファインセラミックの研究に没頭したことで成果を出し、それが元で上司のご厚意もあって会社を作り、今に至る京セラをに成長させてきました。

会社が赤字であろうが、先輩が辞めて行こうが、本人の人生を決定づけるものではありません。要は、本人が本腰を入れて一所懸命頑張って、頑張って、頑張ることです。きっと神様はその様子を見て、チャンスをくれるのでしょう。

その元留学生には、本当の世の中がまだ理解できていないのでしょう。

会社は給与をくれるところではなく、稼ぐことで給与という「分け前」を貰うところだということを理解しなくてはなりません。環境がどんなに悪くても、それを理由にして自分の不遇を呪ってはならない。一生懸命生きた人は、必ずあの時の自分があったから、今があると誇ることができるものです。

短い時間ですが、彼にこの話をしました。あとは彼次第です。